暗号通貨の有名なものにビットコインがあるが他にも様々な暗号通貨が次々と生まれている。
今回は暗号通貨にどんなものがあるのか有名なものを中心に紹介していきます。
ビットコイン
まずはやはりビットコインから。
暗号資産で時価総額1位の地位にいます。
ビットコインがほかの資産と比べて大きく違う点は
発行主体を持たない
円などは国が主体となって作られている通貨である。
しかしビットコインはその主体を持ちません。
通貨は基本的に発行元への信用があって成り立っていますが、ビットコインにはそれがありません。
しかしブロックチェーンというアルゴリズムを用いることでそれを成り立たせました。
そのため円などとは違い国の信用ではなく、アルゴリズムの信用で成り立っています。
どんな信用があるの?
偽造、改変されない
これはブロックチェーンという技術によって可能となりました。
国や企業に左右されない
これは発行元が存在していないという点から生まれます。
じゃあだれが発行するのかというとマイニングを行っている人達に対して報酬という形で発行されます。
このルールによって流通量を操ることはだれにもできません。
逆に国の通貨は景気のために、流通量を操ることが当たり前のように行われているわけです。
有限である
ビットコインは発行される枚数があらかじめ決められています。
これは半減期というものによって、マイニングを行っている人に払われる報酬が4年ごとに半分になっていくためです。
有限であるということは希少でもあるということで価値を見出す人もいるようです。
ビットコインの問題点
処理に時間がかかる
ビットコインの取引はマイニングによって承認され記録されるわけだが、取引量が増えると記録が追い付かずに時間がかかってしまう。
これの対策として
- ブロックを大きくして、1つのブロックに書き込める取引をふやす
- 取引データをチェーン
- ブロックに書き込む取引の数を厳選する(ライトニングネットワーク、サイドチェーン)
ということが今のところ考えられ、ほかの暗号通貨に派生していきます。
また3はビットコインのシステムを拡張する形で解決策が考えられているようです。
ライトニングネットワーク
ライトニングチェーンを説明する前にペイメントチャネルというものを説明する。
AさんがBさんの店で買い物をするとしよう。
このときAさんはあるものを300で買い、ほかのものを200でかった。
というように様々なものをかっていく。
そうするとAさんが買ったという取引がどんどん積みあがっていく。
普通にいけばこの取引すべてを記録していくことになる。
しかし結局Aさんはすべての取引の記録を合わせて合計でどれだけ払ったかという記録さえすれば十分ではないかという考えが出てくる。
これを実装したのがペイメントチャネルというわけだ。
つまり入口と出口の差だけを記録として残すということだ。
ペイメントチャネルはあくまで2人の間での取引のシステムだったが、ペイメントチャネルどうしを繋げてネットワークにしてしまったのがライトニングネットワークだ。
しかしこの取引はあくまで、ブロックチェーンの外で行われている取引なので、オフチェーンと呼ばれている。
サイドチェーン
こちらは個人間の取引ではなく取引所どうしの結ぶものだ。
これはお互い信頼できる取引所どうしが、実際に取引を行わず取引を行ったとみなし、最終的に〆を行う際にすべての取引の差額の取引だけ実際に行い、記録するというものです。
変動幅が大きい
ビットコインの価格が安定していない。
これでは取引に用いたとしても、もらっていた分の価値がいきなりなくなるということが当たり前におきてしまいます。
これを解決しようとステーブルコインと呼ばれるものがうまれました。
消費電力が大きい
マイニングを行う際にはコンピューターに計算を無茶苦茶させます。
それによって電力を多く必要としてしまいます。
そのため今の世の中で言われているSDGsと相いれない形になってしまいます。
これを解決するためにマイニングの仕組みを変えたコインが生まれました(リップル)。
意思決定に時間がかかる
国や組織に左右されず非中央集権的ということは、逆に1つの方向にまとまることが難しいということです。
今の世の中を見てみるとわかりやすいと思います。
様々な政治思想を持つ人がいるため全員がまとまるのは非常に難しいわけです。
中央集権だからこそ1つの方向にまとめやすいという面もあるわけです。
この中央集権を反映している暗号通貨にリップルやステーブルコインも当てはまるようです(つまり発行主体があります)。
問題があってもやっぱりビットコイン
ビットコインは様々な問題を抱えていて、それを解決した様々な暗号通貨が出てきていても、時価総額1位を保っています。
これはネットワーク効果というものが働いていると考えられます。
これは売る人がたくさんいれば買う人も集まってきてそしてさらに新たな売る人を・・・というように正のフィードバックによって取引が多くなり、流動性も増していくというふうに働くことで地位を得ていくというわけです。
ビットコイン以外の暗号通貨(アルトコイン)
ビットコイン以外の暗号通貨はまとめてアルトコイン(オルタナティブコインの略らしい)と呼ばれています。
これらはさきほど紹介したビットコインの問題点を解決しようとして生まれてきた背景があるようです。
ではどのようなものがあるか見ていきましょう。
ビットコインのハードフォーク
ビットコインキャッシュ(BCH)
これは処理に時間がかかるという問題に対して、どのように対処するかという議論の中で生まれてきました。
さきほど処理に時間がかかる解決策として挙げていたうち、この2つを採用するかどうかという議論が行われていたそうです。
- ブロックを大きくして、1つのブロックに書き込める取引をふやす
- 取引データを圧縮する
しかし意見はまとまらず、この2つのどちらを採用するかで2つの派閥にわかれたそうです(2017年)。
結末としては両方の意見を取り入れるという折半案になったようです。
これで解決したかに思えたが、2017年8月にヴィアBTCというマイニング業者がハードフォークを強行してビットコインキャッシュを作りました。
これはブロックのサイズがかなり大きい(最大8MB)ものです。
ステーブルコイン
この暗号通貨はドルなどとの交換比率が固定されているものです。
どんなときも1ドル=1コインのように交換できるので、変動幅が大きくならないというメリットがあるようです。
テザー(USDT)
テザー社が発行しているコインだ1ドル=1USDTで交換できるらしい。
ドルと同じ価値を持つのにわざわざ暗号通貨にする必要があるのか?と思うかもしれない。
しかしドルで持っていると手数料であったり、手続きがあったりとデメリットがある。
ではビットコインはとなると変動幅が大きすぎておいておくのには適さないということでテザーの出番というわけだ。
しかし一民間企業がやっているものが信用できるのかという人もいるようでそこでほかのステーブルコインもでてきます。
USDコイン(USDC)
サークル社とコインベースが手を組んで発行している暗号通貨。
監査法人をいれたり、保有資産を公開することで安定していることを全面的に押し出しているらしい。
ジーエン(GYEN)
日本円に連動した暗号通貨です。
異なるアプローチを目指す暗号通貨
リップル(XRP)
この暗号通貨が目標としていることは銀行間のネットワークシステムを補完すること。
ブロックチェーン技術による早くて安いシステムを銀行間のやりとりにももたらそうというわけです。
このリップルはビットコインの問題点を改善したXRPレジャーというアルゴリズムが採用されています。
これにより
- 送金時間は3から4秒(ビットコインは10分以上)
- 1秒当たり1500件以上の処理(ビットコインは数件)
- 1件当たりの消費電力がビットコインの12万分の1
- 1件あたりのコストは0.004ドル
というシステムが構築されています。
これにより国際間の送金にリップルを挟むことで簡単で早く安いことを実現しようとしています。
ビットコインはマイニングによって通貨を発行しているのに対しリップルはマイニングを行いません。
リップルも発行上限が決められており2005年にすべての発行が終わっています。
XRPの価格を安定させるために、大口の保有者が市場にXRPを一定で流すことでコントロールしています。
これはリップルが生まれた目標であるネットワークシステムとして使われるためには価格が安定していないといけないためです。
ビットコインのライバル!?
イーサリアム(ETH)
ビットコインに次ぐ時価総額の暗号通貨です。
この暗号通貨のポイントは通貨としての価値ではなく、スマートコントラクトという仕組みを提供するところにあるようです。
このスマートコントラクトによってイーサリウムは独自のコミュニティを作り上げているようです。
スマートコントラクト
簡単にいうと、契約を自動的に実行する技術です。
これはビットコインにあったブロックチェーンの仕組みを取引だけでなく、契約にも持ち込んだシステムです。
ここでいう契約とは、これが達成されたらこうする、だめだったらこうするという内容が書き込まれています。
これがプログラムという形が書き込まれており、条件を満たした際に自動で実行されます。
これによって審査などを介することなく、プログラムの力で行うことができます。
また記録もブロックチェーンとして保存されるため、透明性も確保されます。
このスマートコントラクトの仕組みは誰でも使えるようなプラとフォームとして提供されています。
これによってさまざまなアプリをイーサリアム上で展開できます。
ここからはそんなイーサリアムプラットフォームから生まれた仕組みをいくつか紹介します。
DAO(自立分散型投資ファンド)
これまでの投資ファンドというのはファンドマネージャーがポートフォリオを作って運用をします。
しかしDAOでは、ファンドマネージャーがポートフォリオ作成を行っていた部分を投資家の投票で決めています。
スマートコントラクトによって自動的にこの仕組みが行われるため、ファンドマネージャーを必要しないため資本主義の新しい形として注目されました。
しかし2016年にDAOがハッキングされるという事件がおきました。
これによって運営はハッキングされた取引をなかったことにすることを決めました。
ここでブロックチェーンというシステムが問題になります。
ブロックチェーンではすべての取引がつながっているためハッキング以前に戻すには、そこまでさかのぼり、そこからハードフォークしなければなりません。
これが実行されたことによって、ハッキングがなかったことにされたイーサリアムとハッキングの取引が残っているイーサリアム(イーサリアムクラシックと呼ばれています)に枝分かれすることになりました。
DeFi(分散型金融)
Decentralized Financeの略で中央集権でないファイナンスを意味します。
これは暗号資産のレンディングサービスをユーザー同士だけで行う仕組みです。
これまでは暗号資産を貸し出す(レンディング)は取引所を挟んで行われていました。
他にも株なども証券会社を通して株を貸し借りする仕組みがあります。
これら従来からあるサービスをCeFi(Centralized Finance)と呼びます。
この仕組みを暗号通貨が持つP2Pの仕組みによってユーザー同士で行うことができるだろうということを考えるわけです。
ここでスマートコントラクトの仕組みが加わったことにより、自動で貸し借りを管理者なしで可能となりました。
まとめるとコインの貸し借りを行いたい人同士を自動的にマッチングさせる仕組みということです。
もちろんこの仕組みもブロックチェーン上に記録されているわけです。
そのため人間かアルゴリズムどちらに任せるかという議論が生まれてくるかもしれません。
DeFiを行えるアプリケーションにはコンパウンドやユニスワップがあるようです。
これらアプリケーションはDEX(分散型取引所)といわれ暗号資産の取引がすべてプログラムで行われます。
ICO、IEO、STO
ICOはInitial Coin Offeringの略です。
これはコインを市場にだすことで資金調達を行うことです。
IPOは株を売り出して資金を調達しますが、ICOはコインを売り出します。
しかしこれらには大きな違いがあります。
IPOは事業が成長した先で行われる出口的な立ち位置に対し、ICOは事業を始める際に資金を集めるために行う入口的な立ち位置を担っているようです。
ICOは実績などもたない人間が自分のアイデアをホワイトペーパーというものにまとめそれに未来を感じた人間が買うか判断します。
ICOはこれまで投資家などから資金を集めることができない人間にも資金提供を受けることを可能にしたということです。
逆にこれまで投資家しか投資ができなかったようなものに対して、一般の人でも投資ができるようになったことも意味しています。
投資の民主化を進めるような仕組みといえます。
しかしICOは特に規制もなかったため無法地帯であったわけです。
そんななかしっかりとルールにのっとったものを作ろうということでSTO(security token offering)がでてきました。
これは有価証券として扱って厳しい審査などを通すことで安全性をもたらそうと生まれました。
しかしこれではICOの誰でもできるというメリットを消してしまいます。
ということでIEO(Initial Exchange Offering)が出てきます。
これは発行されたトークンを扱う取引所がルールどおりに使われているかチェックする仕組みのものです。
NFT(非代替性トークン)
Non-Fungible Tokenの略です。
イーサリアムプラットフォームの中で唯一無二のものをつくりだせるトークンです。
これは所有者がブロックチェーン上に記録されます。
自分だけの唯一のものが手に入るということです。
ちなみにこれはデジタルなデータであればすべてNFTにできるようでイラストであったりゲームのキャラなどにも使えます。
これが使われたゲームやアプリはいろいろあるようなので紹介できる機会があればしてみるつもりです。
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参考書籍
いまさら聞けないビットコインとブロックチェーン 大塚雄介
2021年12月第1刷
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